ピンチ効果
J×B の力、言い換えると磁気圧による力でプラズマを圧縮する効果をピンチ効果といいます。磁気圧は空間の磁気エネルギー密度です。磁場の発生のさせ方によって、外部電流によって磁場を発生させる方法をΘピンチ、内部電流によって磁場を発生させる方法をZピンチといいます。パルス電流の作る磁気圧でアルミ缶を押し出す実験です。
Zピンチ
2本の導線に同じ方向に電流を流すと互いに引き合うように、プラズマに電流を流すとプラズマ柱自身が収縮する力を受けます。これがZピンチです。ZピンチのZは、円筒座標の対称軸の方向に電流が流れるため、このような名前がついています。
Zピンチは狭い意味では、特にその電流の流れる方向に形状が一様なものをいいます。
自己収縮するプラズマ
いわゆるZピンチと同様、プラズマ柱を流れる電流のつくる磁場の圧力によって自己収縮するプラズマには次のようなものがあります。
左上は金属ライナーやガスパフZピンチに見られる中空円環構造。右上は毛細管放電。左下は非対称な構造をもつプラズマフォーカス。右下は真空スパークです。
Zピンチへのエネルギー入力
Zピンチはプラズマ自身に電流が流れるため、Joule 加熱が期待できます。定常プラズマでは大変有効な Joule 加熱ですが、短時間でのエネルギーの入力の方法としてはもっと重要なものがあります。半径収縮するZピンチは、磁気エネルギーを取り込んでプラズマ自身が加速されます。プラズマに入力されるエネルギーは、蓄積エネルギーの10 % 以上になります。
Zピンチプラズマの構造
半径収縮するZピンチは Rayleigh-Taylor 不安定性によって軸方向に分断され、軸上にいくつかのホットスポット(高温高密度のX線点源)が発生します。ホットスポットの発生は放射崩壊によるものと考えられています。ホットスポットの周囲には中間的な温度・密度のバルクプラズマが存在し、プラズマの外側に電極物質の蒸気が観測されています。