放電物質として固体ワイヤを用いることにより、ガスとは違って明確な初期分布から放電を開始することができ、また多彩な元素を用いることができます。同軸円環状に配置したワイヤアレイをピンチさせたとき、立ち上がりの遅い電源を用いると、磁気流体力学的(MHD)不安定性によって強いピンチが得られずに壊れてしまいます。そのため通常は巨大な高速パルスパワー電源が必要となります。
しかしながら、発散型ガスパフを用いると通常のコンデンサ電源を用いた遅い放電で一点に収束するピンチが得られています。同様に、発散型ワイヤアレイを用いることにより、一点に収束するピンチが得られることが期待されます。
発散型ダブルワイヤ実験
発散型ワイヤアレイの究極にシンプルな配置として、中心電極上に2本の25 μmの銅ワイヤを配置したものが用いられました。
![](https://pslnu.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/wire-settinga.jpg)
ダブルワイヤ放電
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ピンチプラズマ
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軟X線で観測されたホットスポット
![](https://pslnu.sakura.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/wire-spots.jpg)
2本のワイヤをピンチさせ、1点に収束できることが示されました。