プラズマとは(続)

プラズマに共通した性質

放電プラズマや宇宙空間のプラズマに共通した性質は

  • 電気伝導度が高い
  • 流動的である

という点です。これらは「弱結合プラズマ」という分類と密接な関係にあります。 この結果、プラズマには

  • しゃへい(空間的・時間的)
  • 磁力線の凍りつき
  • ピンチ

といった現象が現れます。

Debyeしゃへい

静電的なしゃへいに関するDebyeの理論は水溶液中のイオンに関するものですが、静電的な擾乱に対するプラズマの応答も同様に取り扱うことができます。 電極に電位を与えるとその反対の符号の電荷が電極を取り囲み、その電位をしゃへいしようとします。しゃへいに必要な特徴的な長さはDebye長とよばれます。

プラズマ振動

静電的な擾乱に対するプラズマの時間的な応答がプラズマ振動です。プラズマ中の電子はイオンに比べて軽く、すばやく動くことができます。プラズマは電子の質量と密度で決まる固有振動数をもっており、プラズマ振動数とよばれます。この振動数よりも低い振動数の電磁波はしゃへいされるので、プラズマ中を伝わることができません。金属による電磁波の反射も同じ原理に基づきます。プラズマ振動のことをプラズモンとよぶ場合もあります。

磁力線の凍りつき

コイルに電流を流そうとしても急には電流は流れません。この時間応答はコイルのインダクタンスLと抵抗Rとの比L/Rで決まります。超伝導体に磁束が侵入しないのはこのためです。プラズマは超伝導体ではありませんが、金属程度には電気抵抗が小さいため、容易には磁束が侵入しません。同様に、一旦プラズマに取り込まれた磁束はプラズマを横切って容易に動くことができません。これが「磁力線の凍りつき」と呼ばれる現象で、プラズマは磁力線とともに動く性質があります。

ピンチ現象

磁場Bを横切って電流Jを流すと力J×Bがはたらきます。プラズマの外部から磁場を加えると、プラズマ表面に渦電流が生じてプラズマを圧縮します。これがピンチ現象です。プラズマ自身に電流を流すとその外部に磁場を生じ、プラズマ自身がJ×Bの力によって自己収縮します。 落雷や静電気の放電など、大電流放電に伴って観測されるアークはすべて細長い放電になります。これらは自己収縮するプラズマの例です。