発散型ガスパフZピンチ

プラズマフォーカスの点収束性と効率の良いエネルギー入力のできるガスパフZピンチの利点を併せもつ発散型ガスパフZピンチの実験が行われました。ここでは放電ガスの違いによるホットスポット形成について紹介します。

アルゴン放電

中心電極前方に強いピンチが形成され、同時に軟X線が放出されます。

16価に電離したヘリウム様アルゴンイオンから放射されるスポット状の軟X線像が観測されます。

8価に電離したネオン様アルゴンイオンから放射される軟X線は軸方向に広がって見えます。

ヘリウム様アルゴンイオンのスポットサイズを測定すると、直径が34 μm程度であることがわかりました。

いろいろなガス放電

プロパン(C3H8)を用いた放電では中心電極前方で強いピンチが見られますが、放電の表面が波立っていて不安定な様子がわかります。

5価に電離した水素様炭素イオンからの放射はアルゴンと比べて大きく、軸方向に伸びています。

窒素(N2)を用いた放電ではかなり不安定な放電が観測されます。

スペクトルは同定されていませんが、窒素イオンからの放射はらせん状の不安定性を伴っていることがわかります。

混合ガス実験

アルゴンに水素を混合して放電を行った場合のホットスポットの形成を調べ、アルゴンイオンのスペクトルから温度の評価を行いました。

アルゴンと水素の混合比が3:2のとき、放射強度は落ちますが、ピンチが形成され、ホットスポットも観測されました。

アルゴンと水素の混合比が2:3になると、ピンチは弱くなり、放射はほとんど無くなりました。

放射強度と温度の混合比の依存性を示したものです。ガス溜の圧力は5気圧です。アルゴンの分圧が下がるにつれて、放射強度は下がりますが、温度はほぼ700万度で大きな違いはありません。